GOVTECH、行政デジタル化時代の新時代行政書士(コラム)

GOVTECH、行政デジタル化が進み、士業の仕事が減るのではないかと言われ続けています。正確には、言われていました。
特に、行政のデジタル化が進むことで行政書士が、会計ソフトやe-taxやマイナンバーで税理士がその影響を受ける。
しかし、実際の市場はどう動いているでしょうか。

「行政書士、税理士の市場規模は共に大きく拡大し、売上が伸びています。」

存続自体が危ぶまれていた両士業は、逆に成長市場になっています。

なぜでしょうか。
理由は2つ考えられます。

1つめは、ネット申請等で便利になった反面、対応できない層がいる。
ネット申請が進むことで置いて行かれる人たち、士業に頼らざるを得ない人が存在します。
便利に申請を行うには、PCが必要ですし、ソフトを導入、各種の登録作業が必要です。
以前の知識にプラスして、環境を整えるという作業が必要です。
申請を行う前段階が増えたわけですね。初心者にはかなり敷居が高いです。

2つめは、特に行政書士に言えることですが、デジタル化が進み一般に普及したことで市場が大きくなった。
以前より簡単に行えるということは、自分もやってみようという人たちが増えます。
しかし、以前より簡単と、簡単は別物です。実際には簡単ではないということですね。
申請業務に慣れている行政書士にとっては簡単便利になりましたが、はじめての人には、とても難しいです。
料金を抑えるためにここまで自分で行います、自分でできますと意欲がありますが、
最終的には難しいのでお願いしますということは、非常に多くあります。
だからこそ、我々が存在するわけですからね。

新時代の行政書士。
行政書士の市場は伸び、以前より売上は増加していますが、個人レベルで考えると条件があります。
それは、インターネットをはじめとするデジタル技術に詳しいこと、です。

GOVTECH、行政デジタル化の技術を使いこなす行政書士、新時代の行政書士と言われています。
プログラム開発をする行政書士、デジタル技術で効率化システム化をする行政書士、増えています。

今何が起きているか。
デジタル化というと、脱ハンコやオンライン申請が挙げられますが、変化の一例に過ぎません。
過去、インターネットが普及しはじめた頃、オンラインショップが出現して物品の購入が大きく変わったように、
オンラインで株のトレードができるようになり、株取引が変わったように、根本的な変化が起きてきます。

一番大きな変化は、「行政手続きが身近になる」ことです。
しかし、手続き自体が簡略化されたり、要件が緩和されるということはありません。
厳しい要件をクリアしていかなければならないのは、以前と同じです。

そこで活躍をし始めているのが、デジタル技術に知見がある行政書士です。
便利になることで利用者が増え、デジタル技術と行政手続きの法的な知見、両方を持っている人は自分で手続きが行えます。
しかし、それ以上に、増えた利用者の中から行政書士に依頼する人が増えます。
行政書士は、申請を行うためのデジタル技術に詳しくないと、利用者が行いたいオンライン申請が行えません。

補助金申請を例にしてみましょう。これは、簡単な例です。
申請をするにはまずGビズIDが必要です。IDの取得にはこういうものが必要です。
要綱・要領はこちらです。手引きはこちらです。一緒に確認しましょう。
申請書類はこちらからダウンロードできます。必要な書類をこれだけ揃えてください。
この書類は代行できます。書類の作成のためのデータ収集を行ってください。
申請は自身で行ってください。申請手続きはこうです。

という支援を行えないと、オンライン申請はできませんよね。
加えて、弊所ではしていませんが、どの補助金を申請すれば良いか、事業の内容を見て案内をする場合もあります。
いずれにしても、依頼者から、全て条件は自分で整えました。代行できる書類の作成だけお願いします。ということなんて一度もありません。実際には依頼者自身でするのは難しいです。

また、市場分析等の情報収集もネットの力がかかせません。
近くに競合店はいくつあるのか、人口の分布はどうなのか。
平均のサービス提供料金はいくらなのか、全部ネットで調べますし、専門ソフトも必要です。

この先、多くの申請をオンラインで行うようになり、また、データの面でもデジタル技術の利用が必須と言えます。
ビッグデータを扱ったり、ストレージでファイル共有したり、打ち合わせをオンラインで行ったり。
もっと革新的なことも今後起きるでしょう。さらに市場も広がります。

そこで活躍できるのが、新時代行政書士といえます。