補助金書類の作成代行は誰ができるのか(コラム)

事業再構築補助金で話題となった、補助金書類の作成代行は誰ができるのか問題、に触れていきます。

結論

「限られた士業なら、できます。」

ただし、行政書士を含む限られた士業のみ、です。
無資格の民間コンサルはできません。
また、GビズIDの手続きは、事業者自身で行う必要があります。

事の経緯。
第10回事業再構築補助金の公募要領に「代理申請の禁止」が明記されました。
代理申請は公募要領違反として、審査対象外。代理申請を行った事業者は、交付決定の取り消し、採択の取り消し、以降の申請も受け付けないことがある。
補助金申請書類は、事業者自身が作成して申請しなければならない。
という、非常に厳しいものでした。
今まで、補助金の代理作成は、助言という名目の元、無資格でも誰でもできますと謳い、無資格コンサルが書類の作成を行っていました。
それが、代理申請は一律禁止とルール化されました。

そこで問題なのは、行政書士法です。
「行政書士法第 一条の二
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(中略)その他権利義務又は事実証明に関する書類(中略)を作成することを業とする。」
そうです。行政書士は官公署に提出する書類の代理作成ができます。

それについて、中小企業庁は日行連に
「行政書士法に基づき、申請者の本人名義での申請を行政書士が有償で代行することは差し支えない」
と通知をしています。
行政書士による書類作成代行は法律に明記されている通り、できます。

なぜ、原則代行禁止になったのか。
中小企業庁の職員が非公式ながら、
「申請者に、事業計画等の申請書類に関する質問をしても、(自分で書いてないから)知らない、作成の依頼先に聞いてみる。と返答をする人が多く、明らかに申請者が書いていないし内容を把握していない。それが問題となっている。」
と回答したとされています。

また、私が聞いた話では「年間数万円のコンサル料金を支払えば、様々な補助金を勝手にどんどん申請代行して、儲かります。」
といった公募要領違反の無資格コンサルがいたとのこと(そもそも補助金は一部例外を除き使ったものに交付されるもので、儲かるとは別)。

地方都市にまでそういったコンサルが営業にくるということは、
おそらく、そういったグループが全国にあり、似たような文面で大量の申請をして、申請者は何が書かれているか把握していない。そういうことだと思います。

明らかに補助金の主旨に反していますね。
そういった違反を行うコンサルが横行し、代理禁止のルールが明記される流れになったものかと推察します。

今後どうなるか。
補助金の申請に対する規定・要領の厳格化は、確実に進みます。
コロナ禍では不正な申請を行う補助金詐欺が急増し、社会問題となりました。
公金の使い方について、厳格化、透明化が加速しています。

現在は、補助金の助言であれば、無資格者でも行うことができるとされています。
ただし、どこまで助言かの線引きは明確とされていません。
メール等で、ここはこう書いてください。と実際の記載内容を示す、これは代理作成にあたり、禁止です。
口頭ではどうなのか。口頭であったとしても、メールの場合と同じく実際の文面を示した場合は代理となるでしょう。
伝達の手段が違うだけで内容は同じですからね。
ここはもう少しボリュームを増やしましょう。という内容であれば、現段階ではセーフだそうです。
ただしどこまで具体的な指示をしたかで分かれると考えます。

もし無資格の補助金コンサルに依頼を検討している人は、十分注意を払いましょう。
事業再構築補助金に限らず、補助金の公募要領をしっかりと自身で確認し、違反とならない注意が必要です。
公募要領違反となり、今後の申請も受け付けてもらえないとなれば、損をするのは事業者自身です。

補助金の支援、相談はやはり士業に頼んだほうがいいです。
国からのお墨付きがしっかりとある人にお願いするのが、安全かつ確実です。