死後事務委任

死後事務委任契約とは、自分の死後の手続きを、信頼できる第三者に依頼しておく契約です。
死後には、死亡届の提出や葬儀の手配、遺品整理、行政手続きなど、さまざまな手続きが発生します。これらの手続きは、通常は親族が対応することになりますが、親族がいない、親族と疎遠である、親族に負担をかけたくないなどの理由で、信頼できる第三者に依頼したい場合もあります。

死後事務委任契約では、委任者(本人)と受任者(第三者)が、死後の手続きに関する契約をします。具体的な委任内容は、契約によって決めることとなります。

死後事務委任契約のメリットは、以下のとおりです。

親族に負担をかけずに、自分の希望する死後を実現できる
手続きの漏れやミスを防ぐことができる
費用や手間を抑えることができる

死後事務委任契約は、公正証書で作成することができます。公正証書は、公証役場が作成する正式な文書であり、より確実な履行が期待できます。

死後事務委任契約を検討する際には、以下の点に注意が必要です。
受任者を慎重に選ぶこと
委任内容を具体的に決めること
費用を事前に確認すること

死後事務委任契約は、自分の死後の安心・安全を守るために有効な手段です。終活の一環として、検討してみてはいかがでしょうか。

死後事務委任契約の具体的な事務手続き
役所への書類提出(死亡届、保険証返還、年金受給停止手続き等)
葬儀の打ち合わせ・手配
生前に行った契約の解約・停止・清算
ホームページ・SNS(Facebook、X(旧Twitter)等)、ブログ等の閉鎖
電気、水道、ガス等の解約
携帯電話・プロバイダ契約の解除
賃貸住宅の場合、不動産屋・大家への連絡、手続き
親族への連絡

委任内容は、委任者の希望や状況に合わせて決めることができます。ただし、相続手続きについては、死後事務委任では行えません。

専門家に依頼するメリット
死後事務委任契約は、専門家以外の知人等と契約することもできます。
しかし、専門家の持つ知識や経験、予見可能性といった知見を生かした業務を期待することは難しいです。
そして何より、多少なりともお金が関係してくることですので、金銭の管理が適切に行われないリスクがあります。

そういったリスクを回避するため、専門家へ依頼することが望ましいといえるでしょう。

行政書士以外にも、弁護士や司法書士といった士業に依頼をすることもできます。
弁護士は訴訟の代理人として、司法書士は不動産登記の専門家として専門性の高い業務が行えます。

しかし、死後事務委任契約については行政書士では行えない業務はありません。
弁護士や司法書士等と同じ範囲の業務が行えますので、契約内容の遂行に問題となることはありません。

死後の事務委任契約は、今需要がとても高まっています。
自分ではできない事務を専門家に依頼するのは、安心感があります。